マンション管理組合で収入を上げる

国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によると、マンションの永住意識は高まっている一方で、修繕積立金が計画より不足していると35%のマンションが答えています。「修繕積立金が不足しているか不明」と答えたマンションが30%ありますので、2/3のマンションで修繕積立金が不足している可能性があります。

修繕積立金の値上げは一苦労

修繕積立金を値上げするとなると、当然区分所有者からの反発が予想されます。本当に必要なことなのかどうかの説明も必要ですし、必要としても金額の妥当性まで必要になりますから、説得に足るだけの資料を用意したり、説明会を開いたり、個別の質疑に回答したりと大変な労苦が発生します。

修繕積立金が不足したマンションは価値が下がる

中古物件を購入する方から見れば、修繕積立金が不足しているマンションは、計画不足なのか住民の合意が得られないのかと勘繰りますし、当然購入の手は止まります。修繕積立金が不足しているマンションは価値が下がってしまうのです。

収益を上げればダブル得

マンション管理組合の中には管理費以外に収入を得ているところがたくさんあります。修繕積立計画になかった収益を上げることができれば、修繕積立金の不足解消にも役立ちますし、付加価値をつけていくことができます。

マンション管理組合が収入を得ることはダブル得といえるでしょう。

収益事業は課税対象

マンション管理組合は区分所有法で設立が義務付けられていますが、法人とみなされますので、収益事業を行うと、収益事業から生じた所得については法人税の課税対象となりますので、注意が必要です。

ただし、すべての収益が税務申告対象(収益事業)となるわけではなく、特定の場合にのみ収益事業となります。

おそらく管理組合の会計を行う上で税理士などの専門家に業務を委託していると思いますので、収益事業の取り扱い方法についてはご相談されるとよいでしょう。

課税対象となるかどうか、きちんと適正な税金を納めることは必要ですが、税金を払わなければならないから収入を得る活動はやめるという必要性まではありません。積極的に収入を得ることを妨げるものではないと思います。

課税対象かどうかは専門家に任せながらも、管理組合が積極的に収入を増やすことが大切だと思います。

管理組合が収入を上げる事例案

管理組合が収入を得ている事例を挙げておきますので、参考にしてみてください。

分類収益活動例
スペースの貸し出し携帯基地局
自動販売機
電柱
公衆電話
看板
広告
ケーブルテレビ機器
インターネット機器
屋上太陽光発電設備
貸駐車場
レンタルロッカー
カーシェアリングステーション
レンタサイクルステーション
ゲストルーム
会議室
イベントスペース
フィットネススタジオ
プール
プレイルーム
キッズルーム
売電太陽光発電
風力発電
設備・備品の貸し出しスペース付帯設備・備品
防災機材
物品販売バザー
フリーマーケット
組合員共同販売
マーケティング支援アンケート協力
試供品配布
チラシ配布
補助金マンション向け補助金
資源回収助成金
広報誌配布協力金
マンション管理組合の収益活動例

マンションは企業から見ても魅力的

マンションはたくさんの方が集合して住まわれている場所ですので、物品やサービスを提供する企業から見れば、営業場所としては魅力的な場所に映ります。

しかし、管理組合が法人格を持たないために契約の責任所在が不明確になりがちであったり、税務の面倒さのために収益事業をのっけから行わないということがあったりするために、企業側から営業のアポイントメントすら行わないということがあります。

管理組合を一つの法人とみなすのであれば、収益拡大の機会を逃すことになり、もったいない限りです。

マンションの寿命は人間の寿命よりも長く、毎月少しずつでも収益を持つことができれば、長期間で大きな収入となると思います。

多様な収入源を得て、その収入をマンションの価値を高める活動に投資することが魅力的なマンションを育てることになります。