マンション管理組合の電子総会

新型コロナウィルス感染拡大の影響はマンション管理組合の運営にも現れています。

中でも多数の区分所有者が参加する管理組合総会の運営をオンライン化しようという動きがあります。

区分所有法で定める総会のオンライン化

区分所有法には以下の記載があります。議決権行使や決議に電磁的方法を用いることができることは記載がありますが、集会(総会)という場を開かずに、オンライン化してよいという記述がないのです。

第三十四条 集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。

第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。
3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を行使することができる。

第四十五条 この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る区分所有者の承諾については、法務省令で定めるところによらなければならない。
2 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。
3 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する。
4 第三十三条の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第一項及び第二項の電磁的方法が行われる場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
5 集会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。

また、第45条に「区分所有者全員の承諾があるときは」という記載があり、電磁的な方法による決議にも大変なハードルがあります。

新型コロナウィルスの感染拡大を体験し、集会自体の開催にリスクがあることが判明した今、今後の法解釈の整理や法自体の改正が求められます。

現実的にできるウェブ総会

現状では総会自体をオンライン化することができませんので、会場を用意するものの、来場者をできる限り減らして、委任状や書面または電磁的方法による議決権行使を増やす工夫が必要です。

来場者を減らしてしまうと、総会にて、区分所有者からの質疑応答や意見陳述を行うという重要な場が失われてしまいます。このため、事前に議案書類は各区分所有者に送付されていると思いますが、議案に関する質疑応答を総会の前に実施しておくなどの工夫が必要です。

また、参加したくても参加できない方がおられると思いますので、区分所有者に対してオンラインでライブ配信を行うことを検討してはどうでしょうか?

事前に議論の機会を用意しておく

積極的に委任状と議決行使状を事前に集めるよう努めると、ほぼ総会を開催するときには議決の方向性が決まってしまっていることになります。

いままでは参加者(区分所有者)は議案書類を読んで質問や疑問事項を総会に持ち込んでいたと思いますが、それができなくなります。

一方、理事長をはじめとする議事進行側も議案の詳細な説明や参加者の質疑に対して準備していたかと思いますが、それもできなくなります。

つまり、議案書をいかに懇切丁寧に記載するかということに加え、総会の前に説明や質疑応答などの対話の機会を準備しておいた方が良いことになります。

管理組合のオンライン総会

これからの管理組合総会も株主総会のようにオンライン総会を志向していくのかもしれません。

オンラインを使った傍聴ができるようになれば、以下のメリットがあります。

  • 開催日の土日などに仕事で参加できなかった区分所有者の参加の機会増
  • 遠方に住む区分所有者の参加の機会増
  • 管理組合運営の透明性の拡大
  • 会場では意見をしない参加者からの意見の集約

オンライン総会を開けば、今まで参加しなかった方が参加したり、今まで発言しなかった方からの意見が聞けたりと、むしろ対話の質があがっていくかもしれません。

管理組合のオンライン総会サービス

管理組合総会をライブ配信するには、「ライブ配信サービス」「ウェビナー」で検索すると、使えそうなサービスが見つかると思います。

※ウェビナーとは、WEB+セミナーの造語です